現代の社会心理学@放送大学テキスト

1.「人間の社会性」をどう捉えるか?

  • 「適応的視点」にて捉える
    • →人間の心の社会的な動きや行動の仕組みが、「適応すること」に対しどのように役に立っているか、という視点。
      • 「適応(adaptation)」:→生物学に由来。「自分や血縁者が生存する確率を高める特性」
      • キノコ喰いロボット:とある惑星に送り込むロボットにはどんな心理・行動デザインが必要か?を考察。学習・記憶システム、推論・判断システム…。具体的なデザインは自然環境に依存。
  • 人間にとっての「適応環境」は?→「群れ生活」という環境(=集団生活)
    • →人間の心が設計されてきた進化的な適応環境は集団生活にある、という考え方。
      • 自然環境への適応策は、群れという生活形態を媒介にしたもの。自然環境への適応→群れ生活の選択→群れ(相互依存関係)の中での生き残り、という新たな適応問題の発生。
      • 社会脳仮説:霊長類の大きな脳は社会行動の複雑さに由来する(上記考えの基礎を構成)
  • 集団におけるメンバ間の相互依存関係の特徴
    • 例)社会規範
    • →規範は、集団生活でのメリットを大きくする=適応的行為
    • →規約を破る「掟破り」の存在
      • …個人にとっては規約を破る方が有益。つまり社会全体の利益と個人の利益追求が一致しない(=社会的ジレンマ
    • →「掟破り」の処罰は処罰者個人へのリスクとなる=処罰は非適応的行為
    • …にも関わらず、多くの場合人間は義憤などの「感情」で処罰を実行する
      • 「感情」=優れて人間的な機能。この存在が大規模な社会を実現可能にしている(他の霊長類には見られない)
      • しかしこのような社会的な心(社会性)は固体に不利益をもたらす可能性があるにも関わらず、自然淘汰されずに人間に備わっている。
      • 感情とは?集団生活での行動傾向は?協調行為の特徴は?解決されねばならない問題とは?…などなど